2011年5月23日月曜日

アオバナシラン(青花紫蘭)

Bletilla striata var. coerulea = Heavenly blueピントは甘いが,最も色が良く出ている画像なのでご勘弁を.シランの青花種.中国では白芨藍變種といわれている.草姿・花姿ともシロバナシランより華奢で,上がく片の垂れ下がり方は,シロバナシランより著しい.伊藤伊兵衛『増補地錦抄』(1695) 巻之六 に 「うすけい 紫らん草のうすむらさき」 と記されている「うすけい」がこれかと思われる.近くのホームセンターで2008年に購入.一時は消えたかと思っていたが,今年は数本の花茎を立てたので,紫・白・藍の三種のシランの花が見られた.
シラン属で他に観賞価値の高い花としては,アマナランBletilla formosana,台湾原産.花被は薄いピンクで唇弁には黄色のマークがあり華やか.)と,キバナショウハクキュウ,キバナシランBletilla ochracea, 中国原産.花被は黄色で唇弁は赤いマークのある白色.)が知られているが,特にアマナランは美しい.

シランの地下の白く多肉で大きな扁圧球形な球茎を白芨(びゃくきゅう,Bletillae Tuber (中)白芨)と呼び,漢方で止血,消炎,排膿薬とし,肺結核や胃潰瘍による喀血や吐血,血たんなどに各種薬方に配合して用いられ(用量:1日6~18g),外傷,腫ちょうなどには粉末を外用している.薬理実験によれば,血球を凝集して血栓を形成する止血作用がみられ,その効果がすばやくあらわれることが認められている.また胃せん孔に用いると,粘液がせん孔をふさいでしまう効果が認められている.成分としては多糖類の粘液でbletillaglucomannan,およびデンプンが知られているだけ.収穫は秋の地上茎が黄変したころがよく,掘り上げてひげ根と地上部を除き,よく洗ってほとんどすきとおって来るまで蒸し,その後かるくたたいて取れる粗皮を除き,日に当てるかまたは火力で速やかに乾燥させると「白芨」が得られる.

欧米では園芸店でシランは非常に育てやすく,地植えで葉も楽しめるランとして 'Hardy Orchid' あるいは 'Chinese Ground Orchid' の名で販売され,また白芨やその粉末も薬種店やアジア食品店で “Bletilla (bletilla powder)” として売られていて,その収斂作用を利用して痛み,潰瘍,ひび・あかぎれの治療に用いられている.

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