2010年9月8日水曜日

ニチニチソウ

Catharanthus roseusマダガスカル南東部及び東部原産で,欧州入植者の手により移出され,今では世界中で観賞用に栽培されるキョウチクトウ科の植物.原産地及び多くの土地で糖尿病の民間薬として使われる.1950年代に始められた研究で,ニチニチソウには70ほどのアルカロイドが含まれることが分かった(これらを総称してビンカアルカロイドと呼ぶ).このアルカロイドには血糖値を下げる作用も確認されたが,いずれも毒性が強く糖尿病治療薬として使えなかった.しかし,その研究途上でニチニチソウアルカロイドには,ラットで顆粒球を減少させ骨髄を抑制する作用のあることがわかり,抗癌成分の探索にきりかえられ,1958年にビンブラスチン(Vinblastine),1961年に類似成分のビンクリスチン(Vincristine)が単離された.これら2種のアルカロイドはいずれもチューブリン脱重合による強い細胞分裂阻害作用を有し,今日,臨床で抗腫瘍治療薬として用いられている.特に小児白血病に対し著効を示し,生存率を10%から90%に改善した.中枢神経刺激作用,心機能障害,痙攣,筋肉麻痺,嘔吐などの毒性があるので素人の利用は危険.たんに食すると嘔吐や下痢程度では済まないことになるとのこと.


日本では左馬之助著,享保2年(1717年成)の『諸禽万益集』に初出.また佐藤中陵(1762年-1848年)が水戸藩主徳川斉昭の命により編纂した『山海庶品』には「安永中,琉球ヨリ来タル-----安永六年,広ク四方ニ伝フ----寛政中,変ジテ白花ノ者出ヅ」とある(明治前園芸植物渡来年表 磯野直秀).



このところの暑さと乾燥でますます元気.センニチコウ(ローズネオン)と共に夏の花の少ない我が家の庭を彩る.

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