2010年8月2日月曜日

カワセミ(翡翠)(4)ペリットの中身,名前の由来,絵画

カワセミ(翡翠、Alcedo atthis)カワセミ科 (4)ペリットの中身と名前の由来

私が遭遇したカワセミが良く止まるコンクリートの水門(左)、調べると白い糞のほかに、褐色のペリットらしきもの(下左)を発見。採取して崩してみると中からアメリカザリガニのものと思われる赤い殻の破片が多数(下右)、でも魚の骨は見当たらない。

釣人に聞くと、この川にはオイカワやヤマメがおり、春には大きなフナも釣れるとの事だが、現在の主食はこのザリガニのようだ。どのくらいの大きさのザリガニをどうやって丸呑みにするのか分からないが、あんな殻ばかりのようなザリガニでは、効率が悪いのではと心配させられる。
また生まれて直ぐの子供には、親が半消化した食物を口移しで与えるのだろうか。そんな現場を見たいものだ。


次に「カワセミ」の語源を。(2)で述べたように古代では、青い鳥という意味の「ソニドリ」と呼んでいたようだ。ソニ(青土)はハニワ(埴輪)のハニ(赤土)に対応する。
このソニドリからソニになり、(3)の「和漢三歳図会」「大和本草」にあるように、ソビからショウビ及びセビに変わり、前者はアカショウビン・ヤマショウビンのショウビンへ、後者は川にいるセビ・山にいるセビのカワセビ・ヤマセビからカワセミ・ヤマセミになったと考えられる。
背中が美しいから「背美」それが変わって「セミ」説や、穴で育っている雛の鳴き声がセミに似ているから(山渓カラー名鑑「日本の野鳥」)などという説よりも、説得力があると思うが。

カワセミが絵画に現れる頻度は高くない。調べた限りでは、有名画家で題材にしたのは、北斎(「翡翠、鳶尾草、撫子」-左)、広重(「翡翠と紫陽花」)、渡辺始興(旧嵯峨御所 大覚寺「四季花鳥図」【重要文化財】)、ゴッホ(The Kingfisher 1884、 The Kingfisher 1886)、加山又造(「翡翠1990」「寂」)など。

特筆すべきは宮本武蔵の水墨画で、「布袋竹雀枯木翡翠図」岡山県立美術館蔵、「蓮池翡翠図」吉川英治記念館蔵の2つが現存する。彼の水墨画にカワセミ、モズ、ウなど、捕食性の鳥が多く登場するのは、静と動との切り替えに武芸者として共感したからかも知れない。




おまけは、(3)で言及した1596年刊「本草綱目」のカワセミの図(左、国会図書館)。なんとも稚拙で可愛い。

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