2010年7月10日土曜日

マンリョウ(万両)

Ardisia crenata冬につく紅い実を鑑賞するために庭で栽培される,関東以西に自生するヤブコウジ科の常緑小低木.関西の商家では,赤い実の着くセンリョウ(千両)・アリドオシ(蟻通し)と共に,店先に植えたり,正月に飾ったりして「千両・万両有り通し」と裕福に過ごせるよう縁起を担ぐ.

日本で観賞されるようになったのはセンリョウより後のこと.大和本草,和漢三歳図会,花壇地錦抄には見られず,文献上に初めて見えるのは小野 蘭山の『本草綱目啓蒙』(1803).
一方,千両は『花壇地錦抄』(1695)の「實秋色付て見事成るひ」に,「南天」や「やぶこうじ」と共に「仙蓼(せんりやう)」の名で「草.葉ハ茶の葉のごとくにして,あかき實一所にこゞなりてつく.小つふなり」と記載されている.万両は仙蓼が千両と変わってから,それより大きいことに由来して万両と呼ばれる様になったと思われる.古典園芸植物のひとつで,江戸時代には色々変種が育種されたそうだが,かなり後期になってからであろう.アメリカ合衆国では,ナンテンと同様,鳥が散布する種から拡がり,外来有害植物として問題になっている.

引っ越してきて,鬼門に植えてから10年.毎年赤い実をつけるが,花は見ていなかった.現時点では花はまだ蕾だが,花開いたら写真は替える予定.庭には鳥が落とした種からヤブコウジ(十両)が多数出てきている.

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