2010年7月19日月曜日

アサガオ(2)花壇地錦抄・和漢三才図会・変化朝顔

Ipomoea nil (2)日本に移入されたアサガオの花は紺色と思われ,これがキキョウの古名との共通点で,やがて此の名を奪ったのであろう.白い花が突然変異で現れ,それから各種の色が育成されたといわれている.
伊藤伊兵衛「花壇地錦抄」 (1695年)では白,赤,浅黄,るりと花色の違いで分類している.
貝原益軒「大和本草」 (1709年) 巻の六 草の二 牽牛子 花に淡い青,青紫色,白色があって,薬用には花の深青なるを使うべきで,小牽牛花(コアサガオ)というのには紺・白・碧で 昼でもしおれない.
寺島良安「和漢三才図会」 (1713年頃)種が黒いのと白いのがあり,前者は紺色を帯びた薄赤,後者は紅色を帯びた薄青の花を着けるとして,薬効について述べている.

江戸後期になると花色・花の形・葉の形・草姿のいろいろと変化に富んだ,いわゆる「変化朝顔」の育種・鑑賞が盛んになり,多くの図鑑が発行され,その中には今では見ることの出来ない黄色いアサガオも掲載されている.
明治以降,細々と伝えられていた変化アサガオの系統の維持は,国立遺伝学研究所(三島)で行われていたが,1993年にこれに従事していた田村仁一氏の退官後は,これらの系統は九州大学に移管され,九大理学部で種子の更新をし,また愛好家に実費で配布している.
九州大学の「アサガオホームページ」(http://mg.biology.kyushu-u.ac.jp/index.html)では多くの品種の写真を見ることができる.
変化アサガオは一代限りの花が多いので園芸種としての普及は難しいだろうが,遺伝子の働きを理解することによって,他の植物へ応用できれば,有用な遺伝子研究となるのではと思われ,日本の重要な遺伝子資源といえよう.

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