2010年6月11日金曜日

ヨウシュイブキジャコウソウ,這性タイム,欧州薬効,シェークスピア

Thymus serphyllum, Creeping thyme
歩くたびに芳香が立ち登ればいいなと,踏み石の周りをこの植物で埋める計画で,種から育て始めたがまだ道は遠い.しかし周りの草を抜くときに良い香りがする.

古くから欧州ではThymeには薬効があるといわれ,英国では心臓病・頭痛・憂鬱症・神経症の薬とした.春と夏には病人だけではなく健康な人も好んでthyme teaを飲み,夏の間に収穫した thymeを陰干しにして冬のために蓄えた,また,毛皮製品や冬用の衣服の間にも虫除けとして入れた.この草が生えるところは空気が清浄で,その芳香が心を晴らすという.

シェクスピアの悲劇「オセロ」でのイアーゴの独白でもThymeは清廉な心の象徴とされている.結局彼の心の庭は嫉妬のイラクサで覆われたしまったが.

“Tis in ourselves that we are thus or thus.
Our bodies are our garden to the which our wills are gardeners;
So that if we will plant Nettles, or sow Lettuce, set Hyssop, and weed up Thyme, supply it with one gender of herbs or distract it with many,
Either to have it sterile with idleness, or maimed with industry, why the power and corrigible authority of this lies in our wills.”
------ Iago Shakespeare “Othello” Act I, iii.


 人間、こうなるも、ああなるも、万事自分次第だ。
おれたちの身体が畑なら、意志は畑作りだ。
畑にいらくさを植えようと、ちさを蒔こうと、ヒソップを生やして、じゃこう草をひっこ抜こうと、
一種類だけにしようと、なん種類をも蒔きちらそうと、
それともほったらかして荒れほうだいにしようと、せっせと肥料をやろうと
- いいか、これを管理運営するのは意志の力だ。

三神勲訳『オセロ』角川文庫 平成8年改版初版

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