2010年6月8日火曜日

カニクサ

Lygodium japonicum時々、植えた覚えのない植物が生えてくる。鳥の落し物だったり、風で種が飛んできたり、植えたものについてきたり。大体は歓迎されない植物だが、このカニクサを見つけた時はうれしかった。ぜひ若いうちからの成長の様子を見たかったのと、ある本に、トリスに絡ませると面白いと書いてあったから。

日本に原生するシダ類では珍しく、巻き付く形のつる性。別名のツルシノブはこれに由来する。近くの山野では成長すると木に絡みつつ3メートルにもなるが、長くのばす蔓は、実は1枚の葉。本当の茎は地下にあり、横に這い、先端から一枚の葉を地上に伸ばす。株が小さいうちの葉は短く、次第に長い葉を出すようになる。つるに見えるのは葉の主軸で、横に出る葉は羽片。しかしながら、この葉の先端が無限成長するようになっており、その点では茎と同じ機能を持つ。名前はこのツルでカニ釣りをしたから。ツルは丈夫で、篭を編む際の結索などに使用したとの事。


おまけは「シダ」つながりで、最近 e-Bay のオークションで購入したドイツのヘッケル Haeckel, Ernst Heinrich (1834-1919) 「自然の美的技巧」の、「Tafel 52. ビカクシダ“麋角羊歯”」の図譜。

ヘッケルはドイツの博物学者でダーウィンの進化論を強力に推進し、また系統樹の創案やエコロジーと言う言葉をはじめて使ったことでよく知られ、また著作は宮沢賢治にも影響を与えた。 生物スケッチにも独特の才能を発揮し、多くの生物の精緻な図を一つの画面に魅力的に配置した「自然の美的技巧」では生物の精密機械のような構造を芸術的に描き出した。荒俣宏氏に拠れば特に微細な生物の顕微鏡図はA. ブルトンAndré Bretonに「シュルリアリズムの実例」とも言わしめたそうだ。

私の「自然の美的技巧」の図譜のコレクションはもう一つのブログで見ることが出来る。




0 件のコメント: