2010年6月2日水曜日

タチアオイ(5) 17世紀のオランダ Huijsum, 谷文晁 ファン・ロイエン筆花鳥図模写

Althaea rosea (5)
日の道や葵傾くさ月あめ ( 松尾芭蕉 『猿蓑』 元禄3年(1690年))


17世紀のオランダでは,市民階級が力をつけ,それまで王侯貴族の独占物であった絵画やタペストリーなどの室内装飾を自宅に飾り始めた.華やかな異国の花々をいっぱいに生けた花瓶は,その最たるものであったろう.しかし,温室が普及していない当時は,生花は簡単には手に入らなかったものと見えて,画家に注文し花束の油彩画を描かせ,それを壁にかけてその代わりにした.

画家は豪華で美しい花を中心に,彩りよく色々な花のブーケを描いたが,必ずしも描かれた花の咲く季節は同じではなかった.またモチーフは生花の写生のみならず,他人の絵からの剽窃で得たとか.しかし,現在見てもその花はほぼ同定でき,当時,オランダへ移入され,栽培されていた植物と園芸水準が分かる.その花束の中にはタチアオイも度々描かれている.
ロンドン国立美術館 Huijsum Jan van (1682-1749) “Hollyhocks and other Flowers in a Vase”

江戸時代の名画家,谷文晁(1763~1841年)が西洋画の手法を学ぶ為に描いた「ファン・ロイエン筆花鳥図模写」の花束の中にも,白いタチアオイが見える.

原画は徳川吉宗がオランダ商館に注文し 1726年に輸入した W.Van Royen の油彩 (1725年) (神戸市立博物館,名品撰:江戸の絵画のサイトより引用).

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