2010年5月12日水曜日

ヒメウツギ

Deutzia gracilis
ウツギと名の付く日本原産の樹木は多い.少なくとも6科36種.ウツギ科のウツギの類は互いに花が良く似ているが,花糸の翼の特徴で見分けられる.
ヒメウツギはウツギによく似ているが,樹姿・枝・葉・花共に,より繊細であり,また葉に星状毛が少ないので,白い花と緑の葉の対比が美しい.早咲きなので,挿し木で増やされた株が温室中で促成栽培され,早春から鉢植えなどで売られている.
1840年代にイギリスに導入され,1851年に初めて展示された時,銀メダルを獲得した.オランダでは,球根床のあいだに植える間作作物として毎年栽培され,春になると大量に市場で売られていた.1898年頃の英国の種苗商はこのヒメウツギをオランダから大量に輸入し市場にだしていた.

枝はアーチを描いて伸び,その先が接地すると,そこから根を出して増える.5年ほど前に一本頂いた株から今では10株ほどに増え,ハンカチノキの根元をすっぽりと雪の小山で覆うようになった.
佐々木信綱作詞「夏は来ぬ」の一節の「卯の花の匂う垣根に」の歌詞について,ウツギの花には香りがないので,この「匂う」は花が美しく咲くさまを描写しているのだと言われているが,このヒメウツギの近くに行くとは確かに甘いにおいがする.なお,海を渡ったウツギについては,私の別のブログの「ウツギ」の項をご参照願いたい.

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