2010年4月15日木曜日

チューリップ 園芸種 (4)

Tulipa genisneriana cv. (4)

 チューリップの新品種育成には20~25年かかるそうだ.
 特別展「FLOWER」国立科学博物館2007年の展覧会図録での,辻俊明氏の記述によると

 まず,これぞと思う母親の花の雄しべを取り除き,これに掛け合わせたい父親の花粉を人工授粉.受粉後はアルミフォイルなどで柱頭をおおい,他の花粉がかかるのを防止.2~3ヵ月後,子房が褐変してきたら,300個ほどの種を取り出す.15℃以下になったら播種.一度低温にあわせてから発芽させ,6月ごろに葉1枚の地上部が枯れたら掘り取り,保管.この掘り取りと植え付けを5年間繰り返すと,ようやく花が咲く大きさの球根になる.
 チューリップは長い間の交配の繰り返しで色々な遺伝情報を持っているので,花が咲くまではどんな花が咲くかは予想がつかない.優秀な花の株を選別し,増やしていくわけだが,チューリップの球根は1年に2.5倍にしか増えない.10~15年かけて約6000球にまで殖やし,日本各地での試作を3年間行い,これに合格して後にようやく新品種として登録される.富山県では1951年から育種を行っているが,2007年までに「黄小町」 , 「白雲」 , 「夢の紫」 など28の国産品種を育成してきた.

とのこと.

 最近では,りん片からの細胞培養(カルス培養)系が開発され,培地上で球根の大量増殖を行うことができるようになったとの報告もあり(富山農技センター),育成期間の大幅な短縮が期待される.

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